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飯島 三枝子プロフィール イメージ03
 

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 目の前には小高い山々と田畑が連なっている。ここは城下町、松江の南側に位 置する丘陵地。360度パノラマで雄大な山と田園風景が見渡せ、同じ松江市内といっても、市街地からは想像もできないほど豊かな自然に包まれている。
 この地にかやぶき屋根の古民家が、穏やかな表情で建っている。それが、飯島三枝子さんのギャラリーだ。  飯島さんは宮崎市出身。結婚をきっかけに島根に転居し、かれこれ二十五年になる。趣味は陶芸。仲間と一緒に年に数回、展示会を開催している。作品の展示ギャラリーとして、この古民家は大活躍している。
 以前は、会場を借りて展示会を開いていた。しかし、何度も会場の確保や準備、作品の搬入と搬出、片付けなどを体験するうちに、「いつでも作品を展示しておけるスペースがあったらいいね」。仲間から、そんな声が聞こえるようになってきた。また、飯島さん自身もちょうど、自宅の一部屋に設けた陶芸スペースが手狭になっていた時期だった。
 そこへ紹介されたのが、この古民家だった。しかし、初めは飯島さんは「かやぶき屋根の家だけには手を出すまい」と決めていたと言う。数年前に、田舎暮らしに憧れた友人に付き合って、かやぶき屋根の家を見て回ったことがあり、そのときの印象が「大きくて、ジメジメして」と、あまりに悪かったからだ。ところが、紹介されたかやぶき屋根の家は今までの印象とはまったく違っていた。「小さくて、可愛く見えちゃったの」。飯島さんは茶目っ気たっぷりだ。
 購入に関する煩雑な交渉事や近所へのあいさつなども、いろいろな分野で活躍する手作り仲間が手伝ってくれて、あれよあれよという間に古民家は飯島さんのものに。さて、これで終わりでなく、ここから始まるのが古民家たる所以である。

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 かなり傷んだ古民家だったため、床は抜ける、雨漏りはする。「どうしていいか途方にくれていると、いつの間にか誰かがやって来て、助けてくれるんですよ」と、大らかに笑う飯島さんは言葉を続けた。「この周辺に暮らす人たちは自分たちで屋根を替える。床も戸も自分たちで直す。一人で出来ないことは、共同体で一緒になってやって来たんですね。島根には、まだそんな関係が残っているんですよ」。
 この周辺では地区がひとつの家族のような付き合い方をしている。「はて、どうしたもんだろう」と考えながら、みんなでお茶を飲んで話をしていると、少しずつ解決の形が見えてくる。誰かが誰かを呼んできてくれる。古民家に関わるようになってから、だんだんと輪が広がって、かなりの数の人たちがつながっていった。  「人との出会いは本当にすばらしいものだと思います。そのとっかかりに、この古民家がなってくれたような気がします」。
 近所の人たちだけでなく、仲間もこの古民家に来ると何かしら参加できることがある。気が付くと台所で洗い物をしていたり、展示会の車の誘導係をしていたり。「いろんな人が少しずつ関わってくださって、どうやって感謝したらいいか分からないくらいです」と飯島さん。
 古民家には人の手が必要なのだ。まるで、人が人を必要とするように。必要とする人と必要とされる人。そこに、小さな絆が生まれる。そして、小さな絆は一+一を三にも四にもしてくれる。「この家は永遠に完成しないでしょう」と言って、飯島さんがほほえんだ。小さな絆がある限り、この古民家には手が加えられ、これから先もずっと生き続けることだろう。
 衣食住は人の基本。「住」、それは生きることでもある。現代は、その「住」の部分を人にすべて明け渡していることに気がついたと、飯島さんは語る。そして、古民家を直すことで、生活することへの主体を少しずつ「取り戻していった」とも付け加えた。
 飯島さんのこれからの夢は、この古民家を常設ギャラリーにして、陶芸を中心とした物づくりをしていきたい。ステンドグラスを学んでいた娘さんもUターンした。この古民家の一角に、自然に囲まれたカフェをオープンしたいと、二人の夢は広がっている。  ギャラリー&カフェの名前は「木空風」。名前の由来は、前庭に立っている楓の木の間から見えた月が、とても美しかったから。「木」と「風」の間に「空」を入れて「木空風」となった。自然を感じながら、癒しの空間でありたい。そんな願いが込められている。
 「そこの縁側に座って、ひがな一日、自然を眺めてボーっとしていることがあります。ここは、そんなスペースにしたいですね」。
 飯島さんは可愛い古民家だけでなく、かけがえのないものを手に入れたようだ。


藁葺き屋根 藁葺き外観

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