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二人が暮らす桜江町山中地区では、秋祭りに石見神楽を奉納する。ツアーで体験した神楽囃子の不思議なリズムと派手な衣装は、二人には”新鮮な踊り“に映ったという。
地区の人たちはそんな二人に、「神降(かみおろし)」の舞いを伝授した。石見神楽を奉納する前に、神に捧げる神聖な二人舞いである。神楽の舞いは女人禁制とされることが多い。だが地区の人たちのはからいで、夫婦で舞うことが許された。
「それに100年前の貴重な衣装を何のためらいもなく、新参者の私たちに着せてくださったんですよ」
初舞のとき、夫婦は地区の人たちの懐の深さを感じたという。
桜江町に季節の風が吹き、また秋が巡ってくる。この土地の息子と娘になった二人が舞う「神降」を今年もまた、地区の人たちは温かく見守ることだろう。
「東京では救急車の音に慣れて、またかと聞き流していました。今では救急車の音を聞くと、だれかしらと心配になるんですよ」
そんな自分に戻れたことが嬉しいと、さとみさんは優しいまなざしになった。
「過疎化や町の財政難といったマイナスはあります。でも、プラスだけの町なんてない。自分たちが、どこに価値を置くかです」
自分で自分の心を耕している人は、顔つきまでも稟として美しい。
本当の美しさは、心の美しさからしか出てこない。大事なのは「人間としての豊かさ」。武利さんとさとみさんの明るい顔が、それを教えてくれている。
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「しまね暮らし発見ツアー」を実施しているのは、「いわみマインド」という団体。稲垣夫妻が暮らす桜江町は「いわみマインド」のメンバー、河部真弓さんの町でもあり、U・Iターンが盛んな地域です。
「私たちは月1回、地域ごとにU・Iターンをした人たちが集まって、地元の美味しい特産物を味わいながら親交を深めるなど、交流会も活発に開催しています。いろいろな才能を持った人が島根県に集まって来ています。これからはその人たちの能力や技術を活かして、手作りの作品をインターネットで販売するなど、新しい事業も計画しています」と語る河部さん。
こうした地域に密着した草の根活動が、島根にU・Iターンする人々を支えています。
取材協力:「いわみマインド」
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「月刊しまね iwamiマガジン」ホームページ http://iwamiyoitoko.com
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左/
太鼓と笛の音に合わせて夫妻で舞う「神降」。
厳粛で神秘的な舞いである。
右/
庭の畑の世話はさとみさんの楽しみとなった。
周辺には豊かな自然が広がる。
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上/武利さんは、川本町の車両会社「月森ゴム」で整備士として働いている。下/「月森ゴム」社長の岩野さん(右)と武利さん(左)
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【岩野賢社長から一言】
ツアーのとき、稲垣君の太鼓を打つ姿を一目見て、惚れてしまいました。誠実で熱心、彼の人間性があふれていたんですよ。新しい土地で暮らすことになるIターンには、しっかりとした考えが必要だと思います。稲垣君が地域にすぐ溶け込んだのは、意気込みがあったからでしょう。奥さんを気遣う姿もほほえましい。うちの会社を継いでほしいくらいの人材です。 |
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