|
||||||||||||||||||||
|
|
リズミカルに粉を振るい、やさしく生地を練る。作業台の上はふわりとした柔らかそうなパン生地で、たちまちいっぱいになった。毎朝4時から仕込みにかかり、朝6時に開店。「手づくりのパン・ボイゲル」には、焼きたての香ばしいパンがずらりと並ぶ。
|
|||||||||||||||||||
![]() |
海や山、豊かな自然も心地良い。友だち、お客さん、スタッフ、そして自然の癒し。島根に帰ってからは、感謝の気持ちがいつもあふれている。
心の平静はパンづくりにも深みを添えた。小田さんは、かねてから考えていた無添加のパンづくりを始めた。アトピーの子どもでも安心して食べられるパン、野菜のモロヘイヤを練り込んだパン、栄養満点の発芽玄米パンなど、数々のオリジナルパンを作って好評を得ている。また、食パンの種類だけでも8種類。神戸のパン屋でも、これだけの種類を揃えている店は少ないだろう。 ボイゲルの会員カードを持つ顧客も1年間で900名を超えた。これは神戸、篠山の店よりも早いペースだという。60代という人生の節目を前にした小田さんにとって、島根で暮らすことを選んだことは、人生に大きな実りを与えているようだ。 「歳をとって仕事を退いたら、帰ってくるつもりではいました。それが早まっただけ。こうやって浜田でパン屋ができるのも、震災のおかげですね」 小田さんは神戸に自宅を再建しているが、このまま浜田で暮らすつもりだという。叔父は終の棲家として島根を選び、甥は未来の夢を島根にかける。 人生の門出にも、人生の着地点にも、島根はその懐を大きく広げている。癒しの力と抱擁力、島根の豊かさは、そのまま人々の人生に彩りを与えてくれる。 「ボイゲル」とはポルトガル語で「早起き鳥」の意味をもつ。“早くから起きて働け”と、自分を叱咤するために付けた名前だという。甥がパンづくりの腕を上げて店を継ぐまでは、「早起き鳥」に負けないように頑張るつもりと、小田さんは晴れやかな顔で話す。島根ならその夢も叶うことだろう。 早朝、ボイゲルにはたくさんの人たちがやって来る。朝食のパンを買いに来たお母さん、出社途中に昼食用のパンを求める会社員、みんな焼きたての香りに顔をほころばせて、今日はどれにしようかと嬉しそうにパンを選んでいる。 小田さんにとって、これまでになかった至福のひと時である。 |
|||||||||||||||||||
|
↑click!
|鎌瀬 薫
|ジェフリー・アボット |小藤 由貴 |田邊 健一
|
|
|||||||||||||||||||